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ホームページを作ると、制作会社やWeb担当者から必ずと言っていいほど聞くのが「Googleアナリティクス(GA4)」と「Googleサーチコンソール(サチコ)」という2つのツール名です。
「両方ともGoogleの無料ツールだし、なんとなく重要そうだから入れておこう」
そう思って導入したものの、結局どちらの管理画面もここ数ヶ月開いていない……そんな社長や担当者の方は多いのではないでしょうか。
この記事では、まず教科書的な「2つのツールの違い」を解説します。しかし、それ以上に伝えたいのは、「従業員20名以下の中小企業は、アナリティクスを見る必要がない(むしろ見てはいけない)」という、現場の実務から導き出した結論です。
なぜ、せっかくのデータを捨てて「サーチコンソール」だけに集中すべきなのか?建設会社での実例を交えて、その理由と具体的な活用法を解説します。
まずは基本のおさらいです。Webマーケティングの世界では、この2つはセットで語られますが、役割は明確に分かれています。
この2つの違いは、リアルなお店(店舗)に例えると非常に分かりやすくなります。
機能は膨大にありますが、中小企業の実務で使う指標はごく一部です。ざっくりと以下の違いだけ頭に入れておけば十分です。
| 項目 | サーチコンソール (Search Console) | アナリティクス (GA4) |
| 分析対象 | 集客(SEO) | 接客(サイト改善) |
| タイミング | ユーザーが検索してからクリックするまで | ユーザーがサイトに入ってから出るまで |
| 分かること | ・どんな言葉で検索されたか ・検索順位は何位か ・クリックされた回数 | ・どのページがよく読まれているか ・滞在時間はどれくらいか ・問い合わせボタンを押したか |
| 健康診断で例えると | 集客力の診断 (そもそも人が来ているか?) | 体質の診断 (来た人をもてなせているか?) |
ここまでは、どのWebメディアにも書いてある一般的な解説です。
しかし、ここから先はアルウェブ独自の「現場の視点」でお話しします。
多くのWeb制作会社は、納品時にこう言います。
「アナリティクスを入れておきました。これでサイトのあらゆるデータが数値化されるので、分析して改善していきましょう」
これは正論ですが、中小企業の現場においては「美しい幻想」に過ぎません。その理由をはっきりお伝えします。
GA4は非常に高機能なツールですが、それゆえに「設定」と「目的」が完璧でないと機能しません。
多くの現場で起きているのは、とりあえずタグだけ埋め込まれた状態です。「毎月〇件の問い合わせを獲得する」という明確なゴール(コンバージョン設定)すらされていないケースも珍しくありません。
その状態で管理画面を見るとどうなるか。「ユーザー数」や「ページビュー数」といった、売上に直結しない数字だけを眺めることになります。
毎月の定例会議で「先月よりアクセスがちょっと増えましたね」「よかったよかった」で終わってしまう。これでは、何のためにツールを入れているのか分かりません。
厳しい言い方をすれば、Web制作会社の多くは「デザインや構築」のプロであっても、「データを見て仮説を立て、売上を作る」プロではないことが多いのです。彼らの「とりあえず入れておきましょう」という言葉は、サポートしているフリをするための免罪符になっていることすらあります。
もう一つ、決定的な理由があります。それは「統計的な信頼性」の問題です。
例えば、あなたの会社のサイトへのアクセスが月間500PV(ページビュー)だったとしましょう。
この規模のサイトで、GA4を使って「直帰率が高い」とか「滞在時間が短い」と分析することに、どれほどの意味があるでしょうか?
500PVといっても、全員がトップページから入ってくるわけではありません。特定の記事ページのデータを見ようとすれば、母数は数十件になります。
そのうちのたった一人が、たまたまトイレに行くためにブラウザを開きっぱなしにしていたら、平均滞在時間は跳ね上がります。逆に、たまたま間違えてクリックしてすぐに閉じた人が2人いれば、直帰率は悪化します。
つまり、アクセス数が少ない段階でのGA4分析は、「たまたま起きた誤差(外れ値)」に振り回されているだけなのです。
私の経験上、データに統計的な安定感が出てくるラインは「月間3,000PV」あたりからです。
それ以下の段階では、サイトの中の動き(GA4)を気にするよりも、まずはお客さんを店の中に呼び込むこと、つまり「アクセス数を増やすこと」に全精力を注ぐべきです。
だからこそ、見るべきは「サーチコンソール」一択なのです。
では、実際にサーチコンソール(サチコ)だけを見て成果を出した事例をご紹介します。
ある建設会社さんのお話です。
この会社では、Webでの集客(SEO)に力を入れていましたが、担当者はGA4をほとんど見ていませんでした。
「どのページから遷移したか」といった複雑なユーザー行動を追うのをやめ、シンプルに「需要と供給」だけを見ることにしたのです。
ここで言う需要と供給とは、サチコで見られる以下のデータのことです。
彼らがやったことは単純明快でした。
サチコを見て、順位がついている記事を探す。そして、その順位をもっと上げるためにリライト(記事の修正)をする。これだけです。
その結果、AI検索(SGE)などが普及してWeb全体のアクセスが変動する中でも、この会社のサイトはアクセス数を維持し続け、毎月コンスタントに質の良い問い合わせ(リード)を獲得できる「理想の状態」を作り上げることができました。
では、具体的にサチコのどこを見て、何をすればいいのか。明日から使えるシンプルな戦術を2つ紹介します。
サチコで「掲載順位」が10位以内なのに、「クリック率」が極端に低い記事があったとします。
これは、お店の前まではお客さんが来ているのに、看板を見て「なんか違うな」とスルーされている状態です。
これだけで、検索順位が変わらなくても、サイトへの流入数が倍増することはよくあります。この判断にGA4は1ミリも必要ありません。
検索順位が20位、30位と低迷しており、表示回数も少ない場合。
これは、そもそもGoogleから「この記事は検索ユーザーの答えになっていない」と評価されている状態です。
このように、サチコを見れば「タイトルが悪いのか」「中身が悪いのか」が一発で分かります。やるべきことが明確になれば、あとは行動するだけです。
ここまで「GA4は見るな」とお伝えしてきましたが、永遠に見なくていいわけではありません。サイトが成長し、次のステージに進む時には、GA4が強力な武器になります。
以下の3つの条件が揃ったら、その時こそGA4の管理画面を開いてください。
それまでは、あれこれ手を出さず、ひたすら「看板(サチコ)」を磨くことに集中してください。
孤独なWeb担当者のリソースは限られています。今、最も成果に直結する作業だけに時間を使いましょう。