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Googleアナリティクス4(GA4)の管理画面を開いた瞬間、そっとブラウザを閉じた経験はありませんか?
左側に並ぶ無機質なアイコン、聞き慣れない「エンゲージメント」という言葉、どこをクリックしても現れる複雑怪奇なグラフの数々。まるで、近所のスーパーに行きたいだけなのに、ボーイング747のコックピットに座らされているような気分になります。
「Web担当になったからには、これを使いこなさなきゃいけない」
「データを分析して、PDCAを回さなきゃいけない」
そうやって真面目な人ほど、分厚い専門書を買い込み、セミナーに参加し、必死にこの「コックピット」の操縦方法を覚えようとします。
しかし、断言します。 あなたがGA4を使いこなせないのは、決して勉強不足のせいでも、数字に弱いからでもありません。ましてや、あなたの知能指数の問題でもありません。
最大の理由はもっと根本的で、残酷なほど単純なことです。
それは、「分析する以前に、目的が決まっていない」からです。
目的のない分析は、地図を持たずに樹海を散歩するようなもの。どんなに高機能なコンパス(GA4)を持っていても、行きたい場所が決まっていなければ、それはただの「重たい荷物」でしかありません。
この記事では、そんな「GA4迷子」のあなたを救うため、私たちプロが現場で密かに使っている「分析の設計図」を公開します。難しい設定をいじる前に、まずはこの紙一枚を埋めてください。
それだけで、あなたのWeb運用は「苦行」から「戦略」へと変わります。
少し、想像してみてください。
あなたは苦労してGA4からデータを集めました。慣れない操作でCSVをダウンロードし、エクセルで必死に集計し、パワーポイントに綺麗なグラフを貼り付けました。
そして迎えた月初の定例会議。 静まり返った会議室に、プロジェクターのファン音だけが響きます。あなたは緊張しながら報告を始めます。
「えー、今月のセッション数は前月比で105%でした。ユーザー数は微増で、エンゲージメント率は……」
一通り報告を終えたあなたに、社長は眼鏡の位置を直しながら、冷酷な一言を放ちます。
「で?」
この瞬間、あなたの心の中で何かが音を立てて折れる音が聞こえるはずです。 「で、って何だよ! 数字出しただろ! 増えてるだろ!」と叫びたい気持ちを必死に抑え、「あ、つまり順調ということです……」と力なく答えるのが精一杯。
なぜ、こんな悲しいすれ違いが起きるのでしょうか。 社長が意地悪だからでしょうか? いいえ、違います。 これは、お互いが見ている「景色」が、最初からズレているから起きる事故なのです。
多くの中小企業の経営者は、心のどこかでこう信じています。 「高い金を出してホームページをリニューアルしたんだから、当然お客さんは増えるだろう」
彼らにとってホームページは、設置しておくだけで勝手に集客してくれる「自動販売機」か、あるいは振るだけで売上が上がる「魔法の杖」です。
しかし、現場にいるあなたなら分かっているはずです。 ホームページは、リニューアルしただけではアクセスなんて1ミリも増えません。 地図(SEO)を配ったり、看板(広告)を出したりしなければ、誰もそこには辿り着けないのです。
しかし、この残酷な現実を知らない社長は、あなたにこう指示を出します。
「とりあえず、リニューアルして反響あるはずだから、数字確認しといて! 多分増えてるから!」
この「とりあえず」という言葉。これこそが、全ての悲劇の始まりです。
「とりあえず見ておいて」 これは、「冷蔵庫にあるもので適当に美味しいもの作って」と言われるのと同じくらい、担当者を困らせるオーダーです。
何を作れば正解なのか(目的)が決まっていないので、あなたはとりあえず「冷蔵庫の中身リスト(アクセス数レポート)」を作るしかありません。
これでは、具体的なアクションなんて生まれようがありません。 「頑張って」と言われても、何をすればいいのか分からないからです。当然、施策を打たないのでアクセスは頭打ちになり、問い合わせも増えません。
そして半年後、社長は痺れを切らしてこう言います。 「全然成果出てないじゃないか! Web担当は何をしてるんだ!」
これが、日本中の企業で繰り返されている「Web担当者殺し」のメカニズムです。 悪いのはあなたではありません。「目的の不在」が悪いのです。
では、どうすればこの地獄から抜け出せるのでしょうか。 答えは一つ。「とりあえず」と言われた瞬間に、戦いを挑むことです。
Web運用のプロや、成果を出している担当者は、GA4を触る前に必ずやっている儀式があります。 それが「数字の合意(握り)」です。
もし私があなたの立場なら、社長から「とりあえず確認して」と言われた瞬間に、笑顔でこう切り返します。
「社長、確認しますね。ところで、このサイトの『成功』って何件のお問い合わせが来ることですか? 月に1件くれば万々歳ですか?」
これは、相手の基準値を引き出すための意地悪な質問です。すると社長は必ず本音を漏らします。
「いやいや、月1件じゃ困るよ。100万もかけたんだから、月10件は欲しいな」
ここで初めて、「月10件」という具体的なゴール(KGI)がこの世に生まれました。 そうしたら、あなたはすかさず電卓を叩くふりをして、こう言えばいいのです。
「わかりました。月10件ですね。でも社長、今のサイトのアクセス数は月間300人です。一般的に問い合わせ率は1%あれば優秀なので、今のままだと多くても月3件が限界です。10件欲しければ、アクセスを3倍にするか、広告を出す必要がありますが、やりますか?」
ここまで話せば、社長も「で?」とは言いません。 「なるほど、じゃあどうすればいい?」と、初めて「相談」になります。
こうして最初に合意しておけば、あなたは「月10件」という明確な目標だけを追えばよくなります。 報告会議でも「目標10件に対して今月は8件でした。不足分の2件を補うために来月はこの記事を書きます」と言えばいいのです。
これが「仕事」です。それ以前の「とりあえず見る」作業は、残念ながら「遊び」でしかありません。
とはいえ、いきなり社長相手にそんな交渉をするのは怖いですよね。 口頭で話すだけでは忘れてしまいますし、後で「そんなこと言っていない」というトラブルにもなりかねません。
そこで武器として使ってほしいのが、今回紹介する「Web分析設計図」です。
これは、私たちプロがコンサルティングに入る際、最初にクライアントと一緒に埋めるシートを、中小企業向けに極限までシンプルにしたものです。
難しい専門用語は使いません。以下の3つの項目を埋めるだけで、やるべきことが霧が晴れるように明確になります。
まず決めるべきは、Webサイトの定量的な目標です。 ここで「認知拡大」とか「ブランディング」といった、かっこいい言葉を使ってはいけません。それは大企業の遊びです。
中小企業のゴールは常に「実利」であるべきです。 「月間のお問い合わせ数 10件」「求人応募数 3名」「資料請求数 30件」。 このように、誰が見ても達成したかどうかが分かる「数字」に落とし込んでください。
次に、そのKGIを達成するために、ユーザーに押してほしいボタン(コンバージョン)を決めます。
ここで多くの企業が犯す間違いが、「ハードルの設定ミス」です。 いきなり「お問い合わせ(電話・メール)」だけをCVポイントにしていませんか?
まだあなたの会社のことをよく知らないユーザーに対して、いきなり「電話してこい」というのは、初対面の相手に「付き合ってください」と迫るようなものです。怖がって逃げられます。
もし問い合わせが少ないなら、もう少しハードルの低い「中間ゴール」を作ってあげましょう。
これなら、「交際申し込み(問い合わせ)」は無理でも、「LINE交換(資料DL)」くらいならしてくれるかもしれません。この「小さな階段」を作れるかどうかが、Web担当者の腕の見せ所です。
最後は、分母の話です。 設定したCV(成果)を得るために、何人のアクセスが必要か。これは気合や根性ではなく、単純な割り算の世界です。
CV率(コンバージョン率)が1%だとしたら、10件の問い合わせを得るには1,000人のアクセスが必要です。 もし現状が300人なら、どんなにサイトのデザインを磨いても、どんなにボタンの色を変えても、目標達成は不可能です。
その場合、やるべき施策は「サイトの改善」ではなく、「人を連れてくること(記事作成、SNS、広告)」だと瞬時に判断できます。
GA4の設定をいじる前に、この算数が成立しているかを確認してください。成立していない計画は、必ず破綻します。
設計図には、GA4だけでなく、Googleサーチコンソール(GSC)の項目も用意しています。
GA4は「自分のお店の中」を監視カメラで見るツールです。「どの棚の前で立ち止まったか」「レジまで行ったか」が分かります。 対してGSCは、「お店の外の通り」を見るツールです。「看板を見て通り過ぎた人」「そもそも店の前を通る人がいるか」が分かります。
売上が上がらない時、店の中だけを見ていても答えはありません。 「そもそも、この通り(検索キーワード)に人が歩いていないのではないか?」 「看板(記事タイトル)がボロボロで、怪しまれていないか?」
GSCの「表示回数」「掲載順位」「クリック数」を見ることで、こうした「市場のリアルな姿」が見えてきます。
GA4ばかり見ている担当者は、「木を見て森を見ず」になりがちです。両方の視点を持つことで、初めて立体的な戦略が描けるようになります。
ここまで準備ができれば、もう勝ったも同然です。 あとは、設計図に書かれた数字をGA4で設定し、それをLooker Studio(Googleの無料レポート作成ツール)で見やすく並べるだけです。
目的が決まっていないレポートは、ただの「死んだ数字の羅列」です。 しかし、設計図に基づいて作られたLooker Studioのレポートは、あなたに生きた「仮説」を語りかけてきます。
例えば、ある月のアクセス数がガクンと下がっていたとします。 目的がない時なら、「あ、下がってる。どうしよう(汗)」で思考停止していたでしょう。
しかし、設計図があれば違います。 「目標の1,000アクセスに対して、今月は800に落ち込んだ。KGIの問い合わせも2件足りない。内訳を見ると、検索流入が減っている。ということは、主力記事の順位が下がったのか? それとも季節的な要因で検索自体が減ったのか?」
このように、「なぜ?」という問いが自然と生まれ、次に調べるべきこと(GSCで順位確認)が明確になります。 これこそが、本来あるべき「分析」の姿です。 数字を眺めることではなく、数字の裏にある「原因」を探り、次の「一手」を決めること。それができるようになります。
最後に、一つだけアドバイスさせてください。 Web担当者の仕事は、エクセルで数字を集計することではありません。そんな単純作業は、機械にやらせておけばいいのです。
設計図に基づいてLooker Studioを一度組んでしまえば、毎月の面倒な集計作業はゼロになります。 あなたは毎朝、コーヒーを飲みながら、全自動で更新されたレポートを5分だけ眺めるだけでいいのです。
異常値があればすぐに対策し、順調ならそのまま放っておいて、空いた時間で新しい記事を書いたり、営業担当と連携したりといった、本来やるべき「攻めの仕事」に時間を使ってください。
サボるために、準備をするのです。 社内のWeb担当者が一番「楽」をして、かつ「成果」を出すための最短ルートが、この設計図作りなのです。
GA4の複雑な設定画面を開くのは、まだ早いです。 まずは深呼吸をして、Excelを開いて(あるいは紙とペンを用意して)、今回配布する「設計図」を埋めることから始めてください。
上司と数字を握り、目的を明確にする。 それは、無意味な「で?」というツッコミからあなたの身を守る最強の「盾」となり、会社を正しい方向へ導くための「羅針盤」となります。
さあ、迷宮から脱出しましょう。 出口は、もう目の前にあります。
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