スワイプ型LPは導入すべき?メリット・デメリットと「普通のLP」で戦うための費用対効果

「これからはスワイプ型LPの時代だ」「CVR(成約率)が2倍になる」 Web制作会社や広告代理店から、このような提案を受けたことはありませんか?

TikTokやInstagramの普及により、スマホ画面を横や縦にスワイプして読む形式のLP(ランディングページ)が増えています。流行に乗るべきか、それとも従来の縦長LPを使い続けるべきか。予算の限られた中小企業にとって、この判断ミスは痛手になります。

結論から申し上げます。スワイプ型LPは「特定の業種・商材」では強力な武器になりますが、多くの一般的な中小企業にとっては、導入コストに見合わないケースが多々あります。本記事では、流行に踊らされず、自社にとって最適な選択をするための「メリット・デメリット」と「費用対効果」を解説します 。

スワイプ型LP vs 普通のLP(縦長)

まずは、それぞれの特性を整理しましょう。制作会社はメリットばかりを強調しますが、実務担当者が知っておくべきはデメリット(リスク)の方です。

スワイプ型LPのメリット・デメリット

メリット(攻めの側面)

  • 没入感が高い: 1画面に1メッセージだけを表示するため、ユーザーに強制的に内容を読ませることができます。
  • 若年層に刺さる: TikTok等の操作に慣れた世代には、ストレスなく受け入れられます。
  • ストーリー訴求に強い: 紙芝居のように順序立てて説明できるため、情緒的な商材(美容、アパレル、採用ブランディング)と相性が良いです。

デメリット(守りの側面)

  • 一覧性が低い: 「まずは価格だけ見たい」というユーザーでも、最後までスワイプしないと情報にたどり着けず、離脱する恐れがあります。
  • SEOに弱い傾向: 画像や動画を多用し、特殊なプログラムで動かすことが多いため、Googleの検索エンジンにテキスト内容が正しく伝わりにくい場合があります。
  • ツール依存のリスク: 専用の制作ツール(SaaS)を使用する場合が多く、解約するとLP自体が消滅してしまう「ロックイン」のリスクがあります 。

「普通のLP」が今でも廃れない理由

一方で、昔ながらの縦長LPがなくならないのには理由があります。それは「圧倒的な情報量」と「資産性」です。

縦長LPは、ユーザーが自分のペースでスクロールし、興味のない箇所は飛ばし読みできます。また、WordPressなどで構築すれば自社サーバーにデータを置けるため、制作会社との契約を切ってもページは手元に残ります。中小企業が長期的に運用する「資産」としては、普通のLPの方が安全性は高いと言えます。

「費用対効果」で戦うための判断基準

スワイプ型LPの導入を検討する際、最大の壁となるのがコストパフォーマンスです。 「新しいから高い」のは当然ではありません。その価格差を回収できる勝算があるかを確認する必要があります。

1. 制作費と維持費のバランス

一般的に、スワイプ型LPは専用ツールを使うケースが多く、初期費用の他に「月額利用料(数万円)」がかかることがあります。普通のLPであれば、一度作ればサーバー代(数千円)だけで維持可能です。

  • スワイプ型: 初期30万 + 月額3万 × 12ヶ月 = 初年度66万円
  • 普通LP: 初期30万 + 月額0.1万 × 12ヶ月 = 初年度31.2万円

この差額(約35万円)分以上の利益を、スワイプ型にするだけで上乗せできるでしょうか?もし自信がないなら、その予算で「普通のLP」の商品写真をプロに撮り直してもらう方が、確実に売上アップに繋がります。

2. 「N=1」の成功事例を鵜呑みにしない

営業担当者は「CVRが劇的に改善した事例」を見せてくるでしょう。しかし、それは「たまたまその商材が若者向けだった」「広告媒体がTikTokだった」という、特殊な条件下での成功(N=1)かもしれません。

御社の商材がBtoB(対企業)であったり、ターゲット層が40代以上であったりする場合、スワイプ操作自体が面倒がられ、逆効果になる可能性すらあります。「他社でうまくいった」ではなく「自社の顧客層に合うか」だけで判断してください。

結論:御社はスワイプ型LPを導入すべきか?

ここまでの比較を踏まえ、導入のGoサインを判断するための基準を提示します。

導入しても良いケース

  • ターゲットが20代〜30代前半メインである。
  • 商材が視覚的に訴求できるもの(コスメ、食品、求人)である。
  • SNS広告(Instagram, TikTok)からの流入がメインである。
  • 短期的なキャンペーン用であり、将来的にページを消しても問題ない。

導入を見送るべきケース

  • ターゲットが40代以上、またはPC閲覧が多いBtoB商材である。
  • 商品が高額・複雑で、詳細な説明(テキスト)が必要である。
  • SEO(自然検索)からの流入を重視している。
  • 毎月のランニングコストを抑えたい、LPを自社の資産として保有したい。

導入判断・業者牽制用チェックリスト

最後に、もし社長や業者からスワイプ型LPの導入を強く勧められた際に、冷静に判断するためのチェックリストを用意しました。このリストをコピーして、会議資料や返信メールに貼り付けて使用してください。これらに合理的な回答が得られない場合、導入は見送るのが賢明です。

1. 導入目的と勝算の確認(社長・上司向け)

  • ターゲット適合性: 我々の顧客層は、TikTokやストーリーを日常的に長時間視聴している層と重なりますか?(高齢者やB2Bの場合、操作に戸惑うリスクがあります)
  • 素材の準備: 画面全体に表示するための高画質な「縦長画像」や「動画素材」は社内にありますか?(ない場合、撮影費が別途数十万円かかります)
  • 撤退戦略: もし効果が出なかった場合、すぐに元のLPに戻せる体制になっていますか?

2. コストと契約の健全性(業者向け)

  • 所有権の所在: 解約した場合、作成したLPのデータ(HTML/画像)は自社サーバーに移設できますか?それとも消滅しますか?
  • 費用対効果の根拠: 「CVR2倍」という実績は、弊社と同業種・同価格帯の商材でのデータですか?具体的なN数と属性を開示してください。
  • 他施策との比較: 今回の追加費用を、既存LPの改善(LPO)や広告費の増額に回した場合のシミュレーションと比較しましたか?
アルウェブ編集部
アルウェブ編集部