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Webサイトのアクセス解析をしていると、「最近、検索順位は落ちていないのに、なぜか流入数が減っている」と感じることはありませんか。
あるいは、「一生懸命ブログを書いているのに、問い合わせにつながらない」と悩んでいませんか。
その原因は、あなたの努力不足ではありません。検索のルールが根本から変わってしまったからです。
ChatGPTやGoogleのAI概要の普及により、ユーザーは検索結果画面で答えを見て満足し、サイトをクリックせずに去っていく「ゼロクリック」の時代が到来しました。
この記事では、まず実務として絶対に必要な「AIからの流入を計測する方法(GA4設定)」を、コピペだけで完結する手順で解説します。
そして後半では、記事タイトルにある「検索1位でも誰も来ない」という不都合な真実と、その中で中小企業が生き残るための「守りのWeb戦略」についてお伝えします。
ChatGPTやPerplexityなどの「AI検索」が普及した今、Web担当者が最も知るべき数字は「AIからどれくらい人が来ているか」です。
しかし、GA4の初期設定のままでは、これらのアクセスは「Referral(参照)」や「Direct」などの大きな分類に埋もれてしまい、正しく評価できません。
ここでは、忙しい実務担当者のために、AI流入を正確に計測する手順をゼロから解説します。
設定をはじめる前に、「とりあえず今、ChatGPTから人は来ているの?」という疑問を解消しましょう。難しい設定なしで、標準のレポート画面から確認する手順です。
GA4の管理画面にログインしたら、画面左側にあるメニューから「レポート」(グラフのアイコン)をクリックしてください。
メニューが開いたら、「集客」という項目をクリックし、その中にある「トラフィック獲得」を選びます。
ここには、あなたのサイトに「どこから人が来たか」という情報がまとまっています。
画面を少し下にスクロールすると、表(テーブル)が出てきます。
表の左端の見出しが最初は「セッションのデフォルトチャネルグループ」になっているはずです。
この文字の横にある小さな「▼(下矢印)」をクリックし、リストの中から「セッションの参照元 / メディア」を選んでください。
これで、表示が「google / organic」や「yahoo / organic」のような詳細なドメイン表示に変わります。
表の右上にある「検索窓(虫眼鏡マーク)」に、調べたいAIの名前(例: chatgpt)と入力してEnterキーを押してください。
もしリストに chatgpt.com / referral という行が表示され、数字が入っていれば、すでにあなたのサイトにはChatGPT経由でお客様が来ています。
「データがありません」と表示された場合は、現時点ではそのAIからの流入はありません。
検索窓に入力してチェックすべき、主要なAIサービスのドメイン一覧です。これらを一つずつ検索窓に入れてみてください。
| サービス名 | 検索窓に入力する文字 | 表示される参照元(例) |
| ChatGPT | chatgpt | chatgpt.com / referral |
| Google Gemini | gemini | gemini.google.com / referral |
| Perplexity | perplexity | perplexity.ai / referral |
| Claude | claude | claude.ai / referral |
| Google Search (AI概要) | search.google | search.google.com / referral |
※GoogleのAI概要からの流入は、通常の検索と混ざることが多いですが、最近は search.google.com / referral として計測されるケースが増えています。
毎回検索窓に入力するのは手間がかかります。
そこで、もっともおすすめなのが「カスタムチャネルグループ」を作る方法です。
これを行うと、普段のレポート画面で「Organic Search(検索)」や「Paid Search(広告)」と並んで、自動的に「AI Referral(AI流入)」という項目が表示されるようになります。
GA4の画面左下にある「管理」(歯車のアイコン)をクリックします。
画面が変わったら、「データの表示」というセクションを探し、その中にある「チャネルグループ」をクリックします。
画面右上の「新しいチャネルグループを作成」という青いボタンをクリックします。
※「デフォルトチャネルグループ」という既存のものを編集するのではなく、新しく作ることで、万が一間違えても元のデータを壊す心配がありません。
「新しいチャネルグループ」という画面が開きます。
一番上の「名前」の欄に、社内の誰が見てもわかる名前を付けましょう。
例:「AI分析用グループ」
画面の中ほどにある「新しいチャネルを追加」をクリックします。設定画面が出てくるので、以下のように入力してください。
Plaintext
chatgpt|openai|gemini|bard|bing\.com.*chat|perplexity|claude|copilot
この文字列は、「ChatGPT または Gemini または Perplexity…」といった複数のAIサービスを一度に指定する魔法の呪文(正規表現)です。
保存する前に、必ずやってほしいことがあります。
作成した「AI Referral」という項目を、マウスでドラッグしてリストの上の方(Organic Searchより上)に移動させてください。
GA4は上から順番に「これはAIかな?」「これは検索かな?」と判断していきます。AIも広義には「検索」や「参照」に含まれるため、AIの判定を優先させないと、他のグループに吸い込まれてしまうためです。
最後に「グループを保存」をクリックして完了です。
設定が終わったら、レポート画面に戻りましょう(データが反映されるまで、少し時間がかかる場合があります)。
これで、表の中に「AI Referral」という行が登場します。
「検索(Organic Search)と比較して、AIからの流入はどれくらいか?」が一目でわかるようになります。
「全体像」ではなく、「AI経由で来た人は、すぐに帰ってしまうのか? それともじっくり読んでくれるのか?」といった深い分析をしたい場合は、「探索」機能を使います。
GA4の画面左側メニューにある「探索」(グラフと虫眼鏡のアイコン)をクリックします。
「空白」という白い四角のパネルをクリックして、新しいレポートを作成します。
画面の左側に「セグメント」という項目があります。その横の「+(プラス)」ボタンを押してください。
いくつかの選択肢が出ますが、「セッションセグメント」を選びます。
※今回は「AI経由の訪問回」を分析したいのでセッションを選びます。
「新しいセグメント」の設定画面が開きます。
Plaintext
.*(chatgpt|perplexity|gemini|felo|copilot|genspark|claude).*
同じ手順で、「AI以外」のセグメントも作ってみましょう(条件を「正規表現に一致しない」にして、上記の文字列を指定します)。
この2つのセグメントを並べて、「エンゲージメント率」や「キーイベント数(コンバージョン)」などの指標を比較します。
私たちの検証データでは、AI経由のユーザーは、通常の検索経由のユーザーに比べて「滞在時間が長く、直帰率が低い」傾向が見られました。
AIが「このサイトに答えがあるよ」と推奨してくれたリンクを踏んでくるユーザーは、意欲が高いお客様である可能性が高いのです。
設定お疲れ様でした。数字は見えましたでしょうか。
「まだAIからはほとんど来ていない」という方が大半かもしれません。しかし、むしろその「数字」よりも重要なのは、その裏で起きている「来ていない理由」です。
「最近、記事の順位は変わっていないのに、アクセス数だけが減っている気がする」
もしそう感じているなら、その直感は正しい可能性が高いです。その原因こそが、「AIによるゼロクリック(Zero-Click)現象」です。
これまで私たちは、Google検索で上位表示さえすれば、ユーザーがクリックしてサイトに来てくれると信じていました。
しかし、ChatGPTやGoogleのAI概要の登場で、ゲームのルールは完全に変わりました。
ユーザーが検索窓に質問を投げかけると、検索結果の最上部でAIが「完璧な回答」を即座に生成してしまいます。ユーザーはその答えを見て満足し、ブラウザを閉じる。
つまり、あなたのサイトへのリンクは、そこにあるのに「クリックされない」のです。
特に影響を受けているのが、「〇〇とは?」のような知識検索や、天気、株価、計算、翻訳などの単純なツール系クエリです。これらはAIが最も得意とする領域であり、人間がわざわざサイトを訪問して調べる理由は消滅しつつあります。
この変化は、中小企業のWeb戦略に致命的な問いを投げかけています。
もしあなたが、SEO業者に月額費用を払い、ライターに外注して「用語解説記事」を量産させているなら、今すぐその契約書を見直すべきです。
「うちのサイトは月間3万PVあるんだ」と自慢する社長がいますが、その内訳を見てみてください。
もしアクセスの大半が「用語解説(例:インボイス制度とは)」のような記事で稼いだものであれば、その数字は「砂上の楼閣」です。
用語解説で集まるユーザーは、単に「言葉の意味」を知りたいだけです。あなたの会社に工事を頼みたいわけでも、商品を注文したいわけでもありません。
そして何より、そうした一般的な知識は、今後すべてAIが0.1秒で回答するようになります。
これからのWeb運用で見るべきは、見せかけのPV数ではなく、「指名検索数(社名検索)」と「コンバージョン数(問い合わせ)」の2つだけです。
では、AI時代に生き残るコンテンツとは何か?
それは、AIが学習データとして持っていない「今、ここにある一次情報」です。
AIは「一般的な正解」は語れますが、「今日のあなたの現場」を知ることはできません。
綺麗なノウハウ記事ではなく、泥臭い現場の記録、社長の偏愛に満ちたコラム、独自データの公開。これらだけが、AIに代替されない「あなたの会社の資産」となります。
少し先の未来の話をしましょう。
AIエージェント(自律型AI)が進化すれば、ユーザーは自分で検索すらしなくなります。「おいSiri、評判の良い近くの運送会社を見繕って見積もりを取っておいて」と頼むだけで済むようになるからです。
この時、重要になるのは「人間が見てどう思うか」ではありません。
「AIがあなたのサイトを信頼し、引用(リファラル)してくれるか」です。
これまでのSEOは「人間にクリックさせる技術」でした。
これからは「AIに引用される権威性」が勝敗を分けます。
先ほど解説したGA4の設定で、「AIからの流入」が増えているとしたら、それは吉兆です。
AIがあなたのサイトを「信頼できる情報源」として認識し、回答のソースとしてリンクを貼っている証拠だからです。
今のうちから、AIに「この分野ならこの会社のサイトが詳しい」と認識させること。
それが、人間が検索しなくなった未来で、AIという最強の営業マンに自社を推薦してもらうための唯一の生存戦略です。
AIからの流入計測は、単なる数字遊びではありません。あなたの会社のWebサイトが、次世代の検索に対応できているかを測る「健康診断」です。
まずは今日紹介した設定を行い、現状を把握することから始めてください。
「AI流入ゼロ」という結果が出たとしても、それは「今すぐ対策を始めれば間に合う」というポジティブなシグナルです。
ここまで読んで、「うちのサイト、まさに用語解説ばかりで危ないかも…」と感じた方へ。
アルウェブでは、AIに評価されるための「一次情報発信」を支援する実務テンプレートを無料で配布する予定です。
まずはこれらをダウンロードして、今日から「守りのWeb運用」を始めてください。