「MEO対策詐欺」の被害が急増している3つの理由。Googleビジネスプロフィールを守る正しい運用法

「Googleマップの順位を上げませんか? 完全成果報酬なので、上がらなければ0円です」

こんな電話が、今日もあなたの会社にかかってきたのではないでしょうか。 忙しい業務の合間を縫って対応していると、「0円ならリスクはないし、とりあえず頼んでみようか…」と心が揺らぐ瞬間があるかもしれません。

しかし、その契約書にハンコを押すのは、ちょっと待ってください。

「順位を上げること」だけを目的にする業者は、あなたの会社にとって「毒」になる可能性があります。最悪の場合、Googleマップから店のアカウントごと削除され、二度と表示されなくなるリスクすらあるのです。

この記事では、「手を出してはいけない悪質業者の手口」と、「Googleビジネスプロフィールを活用して売上を伸ばしてくれる本物のパートナーの見分け方」を解説します。

「順位操作」だけを売る業者が危険な理由

なぜ、「成果報酬(上がらなければ0円)」を謳う業者が危険なのでしょうか? それは、彼らが「成果(報酬)を得るためなら、Googleが禁止する行為もさえも推奨する業者の可能性がある」からです。

1. 「口コミ削除」の甘い罠とアカウント停止リスク

よくある悪質なセールストークに「悪い口コミを消せます(非表示にできます)」というものがあります。 経営者にとって、心当たりのない低評価は胃が痛くなる悩み。それを「消せる」と言われれば飛びつきたくもなります。

しかし、Googleビジネスプロフィールのシステム上、正当な理由なく口コミを恣意的に消すことは不可能です。では、彼らは何をするのか?

多くのケースで「ビジネスプロフィールの作り直し(別アカウント化)」という荒技を使います。 今のアカウントを削除し、新しいアカウントを登録し直せば、確かに悪い口コミは消えます。しかし、同時にこれまで積み上げてきた「良い口コミ」も「店舗の歴史」もすべて消滅します。

さらに恐ろしいのは、これがGoogleに対する重大な背信行為とみなされることです。「不都合な情報を隠蔽してユーザーを欺く行為」と判断されれば、最悪の場合、Googleマップから永久追放(アカウント停止)されるリスクがあります。一時の「見栄え」のために、Web上の店舗そのものを失うのはあまりに大きな代償です。

2. 「誰も検索しないキーワード」での1位請求

「上位表示達成しました!」 そう言って送られてくる請求書にも注意が必要です。

例えば、あなたの会社が「横浜の運送業」だとします。 本来狙うべきは「横浜 運送会社」や「横浜 引っ越し」といった、お客様が検索するキーワードです。 しかし、悪質業者が成果として報告してくるのは、こんなキーワードかもしれません。

  • 「横浜 運送 ○○対応」
  • 「横浜 ○○区 運送 早朝」

確かに検索すれば1位かもしれません。しかし、こんなニッチな言葉で検索する人は、世の中にほぼいません。 SEO(検索順位対策)と同じく、誰も通らない裏路地に看板を立てて「地域No.1を取りました」と胸を張っているようなものです。

「順位」はあくまで手段であり、目的は「問い合わせや来店」のはず。 「順位さえ上げれば金になる」と考えている業者と付き合うと、毎月数万円の「ムダ金」を払い続けることになります。

本物のプロを見抜く3つのポイント【ここが違う】

では、どんな業者なら信頼できるのでしょうか? 数あるMEO業者の中から、契約すべき「本物のパートナー」を見抜くための3つの基準をご紹介します。

①「一番大変な作業」を手伝ってくれるか?(口コミ支援)

Googleビジネスプロフィールの運用において、最も重要で、かつ最も大変なのが「お客様からの口コミを集めること」です。 Googleは「自然で質の高い口コミ」を何より重視します。しかし、ただ待っているだけでは口コミは集まりません。

ダメな業者は「口コミはお店の方で頑張って集めてください」と丸投げします。 一方で、優秀な業者は「どうすれば現場のスタッフが口コミをお願いしやすいか」まで踏み込んで提案してくれます。

  • 「口コミ投稿画面に一発で飛べるQRコード入りの名刺カードを作りましょう」
  • 「会計時にお客様に渡すための、スタッフ用トークスクリプトを作りましょう」

このように、パソコンの前での作業だけでなく、現場の「泥臭い販促」をサポートしてくれる業者こそ、契約する価値があります。

②「ダメなこと」を真摯に教えてくれるか?(コンプライアンス)

「なんでもできます」「絶対上げます」というイエスマンは危険です。 逆に、「それはガイドライン違反になるので、やめましょう」とはっきり止めてくれる業者を選んでください。

例えば、店名に「地域名」や「駅近」といったキーワードを無理やり詰め込む行為は、順位アップに即効性がありますが、Googleの規約違反です。 目先の利益よりも、あなたのお店の「長期的な信頼(アカウントの安全性)」を守ろうとしてくれる姿勢があるか。ここが詐欺業者との決定的な分かれ目です。

③「順位」の先の「売上」を見ているか?(マーケティング視点)

これが最も重要です。 毎月のレポート報告の際、「順位が3位に上がりました」だけで終わる業者は、単なる作業代行です。

本当のプロは、Googleビジネスプロフィールの「インサイト(分析データ)」を見て、経営のアドバイスをくれます。

良い業者の会話例:

「社長、8月のデータを見ると『ルート検索(ここまでの経路)』の数が急増していますね。この時期、何か特別なことはしましたか?」

「ああ、そういえば駅前でチラシ配りのイベントをやったよ」

「なるほど! そのリアルイベントがMEOの数字にも直結していますね。チラシの効果が高い証拠ですから、来月も定期開催しましょう」

このように、「Webの数字」と「リアルの経営」を結びつけて提案できる人こそが、真のマーケターでありパートナーです。

自社でやるか、外注するかの判断基準

最後に、そもそも業者に頼むべきかどうかの判断基準をお伝えします。

Googleビジネスプロフィールの登録や基本設定は、誰でも無料でできます。 もし、あなた(または社内の担当者)に時間があり、自分でお客様に口コミをお願いしたり、写真を投稿したりできるなら、業者に頼む必要はありません。まずは自社でやってみましょう。

しかし、以下のような場合は、信頼できるプロ(月額2〜3万円程度〜)に依頼する価値があります。

  • 現場が忙しすぎて、口コミ促進ツールの作成や投稿作業に手が回らない。
  • 数字(インサイト)を見ても、そこから改善策を考えるノウハウがない。
  • 第3者の視点で、経営や集客のアドバイスが欲しい。

MEO対策は「魔法」ではありません。地道な「信頼の積み重ね」です。 その積み上げを一緒に背負ってくれるパートナーを選び、大切なお店を守りながら育てていきましょう。

アルウェブ編集部
アルウェブ編集部